事案概要
相談者様は、本件依頼時20代の男性です。
相談者様は、Twitterを利用していたところ、Aという人物からフォローされました。相談者様は、AのTwitterのつぶやきを見たところ、そこには「週20~30分の作業で毎月10万円を稼いでいます。」、「初期費用なし。」などと記載されていました。そこで、相談者様は、AとLINEの連絡先を交換し、会うことにしました。
ところが、当日Aは急用のために来ることができず、相談者様は、Aの代わりに来たというBという人物から情報商材を商品とする情報商材ビジネスの話を聞きました。
後日、BとCという人物と会って、情報商材ビジネスについてより詳しく話を聞くことになりました。Cは、「毎月60万円は稼ぐことができる。会社に就職しなくてもこれなら自立して生きていける。僕は、親に自立を証明して生きている。だから大学を辞めた。」などと会社に勤めずとも確実に多額のお金を稼ぐことができる旨を告げました。相談者様は、Cの話を信じ、情報商材ビジネスで確実にお金を稼ぐことができると考えました。そこで、BとCから、コンサルティング業者である相手方からその情報商材ビジネスで確実に稼ぐためのコンサルティングを受けられる契約(以下、「本件契約」という。)の勧誘を受け、コンサルティングを受ければ情報商材ビジネスで確実に儲けることができると考えて、契約書に署名押印をしてしまい、貸金業者からお金を借りて49万5000円を相手方の口座に振り込んでしまいました。
その後、コンサルティングを受けながら情報商材ビジネスを始めましたが、2か月たってもほとんど稼ぐことができなかったほか、相手方の対応に不信感を抱いたことから、相談者様は、相手方らに不審を抱いたので当弁護団の弁護士に相談し、被害金額の回収を依頼することにしました。なお、貸金業者への債務については親族からの援助で全額返済することができました。
弁護士による対応
1.弁護士は、本件契約に至る経緯や相手方とのやり取りから、本件契約の勧誘は詐欺に該当するものと判断し、その振込先口座を管理する金融機関に対して、当該口座について、振り込め詐欺被害救済法に基づく口座凍結要請を行いました。ここで一つ問題となったのが、相談者様は振込の証拠になる振込明細を破棄していたため、振込の証拠を金融機関に提示できないことでした。しかし、弁護士はそこであきらめず、その金融機関の支店に問い合わせて交渉を行うとともに、入金の日付を特定したり、契約書を送付するなどして、金融機関を説得し、金融機関に口座凍結を実行してもらうことに成功しました。
2.その翌日、相手方から弁護士に連絡があり、全額を返金する旨を申し出てきましたので、弁護士が返金先の口座を指定したところ、すぐに被害金全額が返金されました。相談者様から依頼を受けてから3日で全額返金を勝ち取ることができました。その後、相手方との間で相談者様と相手方との間で債権債務がないことを内容とする合意書を念のため交わしました。
弁護士のコメント
被害金額を3日で回収することができてよかったと思います。相談者様にも喜んでいただくことができました。
今回の事件処理が上手くいったのは、振込明細等がない状態で振り込め詐欺被害救済法に基づく口座凍結を実現できた点だと思います。私の中では、金融機関は振込先口座の取引履歴を把握しており、日付などを特定し、裏付証拠を提示すれば振込明細等がなくても金融機関を説得はできるのではないかと考えて行動した結果、口座凍結要請を実現できました。
詐欺・消費者事件では全く同じ事件などなく、一つ一つの事案に固有の問題点があります。これから、そういった問題に丁寧に対応することによって、高い水準での事件解決を目指していきたいと思います。